パク・キョヒの新潟でのリサイタルを聴くことがでた。
第四ホールでは2回目。座席数200名程度の小ホールだがギターにはちょうどいい。
第一部1曲目ソルの魔笛、2曲目バッハのシャコンヌ。
クラシックギターのもつ本来の弦の音を一切の雑音もなくまろやかで控えめでしかしきちんと耳元に届く演奏
は目を閉じて聴いているともう他になにも考えることはできない。瞑想の世界に引き込まれていった。
難曲のシャコンヌでは多少ミスはあったが、しかしもともとこれが無伴奏バイオリンのためのパリティータとは思えないほどのギターでの表現を発揮した。
第二部で印象に残ったのはやはりアルハンブラの思い出。
その出だしの8小節が最も記憶に残る演奏だった。
静かに進水する船のようにさりげなく、しかし数秒のうちにアルハンブラ宮殿に引き込まれていく。
いままでこのような演奏を他に聴いたおぼえがない。
彼女の得意とするトレモロはそれを支える低音部がけっして邪魔をせずメロディーを引き立てている。
しかしその存在をしっかり意識することができた。
武満徹のギターのための12の歌から2曲。
場をわきまえた演奏。つまり例えていうと、寿司屋で香水の臭いぷんぷんのおしぼりを出されたときの興ざめは、もうそのあといくら旬のネタといっても言い訳にしか聞こえないように、彼女にはそのような勘違いはないのである。なにげなくカフェのBGMにも聴く曲ではあるが、いつの間にか耳のいや全身の神経が彼女のギターに向いていくのだ。カフェでおしゃべりをしながら何となく聴いていたらいつの間にかお互いにおしゃべりをやめ、身動きせずじっと聴き入ってしまう。これはクラシックギターの他に例えようもない魅力そのものだった。
アンコールでは「花は咲く」を弾いた。前回と同じだったが彼女独自のアレンジのようだった。
いつの間にか女性らしい柔らかい優しい世界に引き込まれていった。
きょうはブラボーな一日だった。
posted by 田舎のカエル at 23:02| 新潟 ☀|
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日記
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